私は、コロナ前まで2002年からほぼ毎年ドイツ・ミュンヘンへの研修を企画してきました。毎年同じところを見ることによって、保育の時代的な流れを知ることができます。ある時に訪ねても、それは流れの中でのその時期での保育であって、その地域での保育を代表しているわけではありません。観光であれば、自然を求めても、その街の歴史的な景観を求めてもそれほど時代によって大きくは変わりありません。しかし、政策をはじめとして、教育・保育分野は大きく変化していきます。また、幾度となくその保育を見ているつもりでも、なかなか全貌はつかめませんし、細かい変化まで気が付きにくいものです。
今年は5年ぶりにドイツツアーを企画して先週行ってきました。今年でツアーとしては18回目になります。その中で、最近興味を持ったものに「小さな科学者たち」という取り組みで、企業が率先して幼児期からの科学教育のための資料や教材を配布してきました。そして、公立の幼稚園・保育園の中でそれを取り組みたいと思う園が手を挙げ、その園で実践してきました。私もその取り組みの興味を持ち、その資料を持ち帰り、文科省に「日本でも取り組みませんか」と言いに行ったのは何年前のことだったでしょう。その時は、文科省からまだ時期ではなく、今後検討したいということでした。それがコロナになり、講演することがなくなり、時間が取れたので、せっかくなので、その間何かしたいと思い、世界の動向を見ているうちに、アメリカから発信し、コロナまでのシンガポールでの取り組みからSTEMという科学への取り組みを知り、それを乳幼児期から必要であるという認識になるであろうということで、一般社団法人「乳幼児STEM保育研究会」を立ち上げました。
目下,世界中が、STEM教育に対して注目し始めています。STEM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4つの分野を統合的に学ぶ教育です。その流れの中でリベラルアーツやアートデザインを広く捉え、そこから問いをつくるようになり、旧来のSTEM教育にArt が加わるSTEAMの思想が誕生していき、各国の文脈に応じた取組が展開されています。
私は大学で建築を学びましたが、建築はどちらかというとエンジニアリングに分類されます。しかし設計となると、多分にアートが入ってきます。さらに、このアートはほかの分野である科学にも、技術にも、数学にさえ必要です。いろいろな分野の基本にアートは必要であるために、私はSTEMという4つの分野に加えて、5つ目としてアートを加えるのではなく、STEMを考える上で、広がりをもたらすという意味でARTを加えて方がいいのではないかと思っていました。さらに、もっと加えるものが、単にロボットとかスポーツというような羅列なものではなく、あるのではないかと思っていました。それが、今回のドイツ研修で、私個人と知恵とても納得のいく取り組みを知ることができました。最初にその取り組みについて説明してみようと思います。

随分とSTEMという言葉が身近になってきたということを感じます。我々がそうやって、時代の流れについていけるのも藤森先生の時代の先を読む力のおかげであるということを日々感じます。久々のドイツ視察、お疲れ様でした。科学における大変興味深いワードを紹介していただき、好奇心が湧いております。乳幼児期からの科学について、しっかり実践していかなければとさらい身が引き締まる思いです。
2019年のドイツ研修に藤森先生とご一緒させていただいたことが思い返されました。実際のドイツの園環境を見ながら、藤森先生が「小さな科学者」について話をされたのを覚えています。自園に戻ってからのSTEMの取り組みも、スムーズに行えたのは藤森先生の先見の明に触れていたからだと、感服する日々です。
当時、ドイツは「小さな科学者」もそうですが、「参画」についても様々な取り組みがされていました。2025年のドイツはどうなっていたのだろうと気になっています。ぜひ、またお話を聞かせてください。
ついにドイツ研修が再開されましたね。私がドイツ研修に行ったのは気づけば、もう10年以上も前の話になっていると思うと時代の移り変わりを感じます。
海外研修は海外の保育内容を知ることと同時に、世界の保育の移り変わり、日本の保育との考え方の違いなど、気づかされることが多くあります。とりわけ、ドイツは日本と歴史背景も似ていたり、移民政策など、これからの日本の変化に近いようにも感じるので、参考になることも多くあると感じています。
とりわけ、STEM教育を初めて知ったときも、なかなかそういった世界的に注目されているものがあるというものに対して、日本の保育の変容というのは割とゆっくりとしていることが多いようにも感じます。ドイツにはなかなか行けないからこそ、貴重な藤森先生のブログから学び取っていこうと思います。
5年ぶりのドイツ視察研修の開催、おめでとうございます。ドイツでの保育実践は、日本よりも先を行っているというか、見ている視点や考え方の基盤が異なっている印象を昔から感じていました。そのため、ドイツの実践は何もかもが新鮮/斬新かのように映り、日本でこれをするならどのようなことが必要なのだろうかと、新しい気づきや思考を与えてくれます。こちらのブログを通して、そのような学びを得られることがとても幸せです。