ドイツでは、STEAMに変えて、MINTという取り組みですが、その違いは何でしょうか?私たちになじみの薄いのは、「情報科学」です。その内容として「コンピュータ技術に関連する学問で、情報理論に基づいて情報処理やデータ解析の方法を学びます。情報システムの設計や開発の専門家を目指すことができます。数理論理学や計算理論を基礎として、人工知能や量子コンピュータなどの革新的な技術の創出を目指します」とあります。まさに、今の時代に必要な分野です。平成20年の小学校学習指導要領の算数の領域は、「A数と計算」、「B量と測定」、「C図形」、「D数量関係」です。それが30年の改訂では、算数科の内容は,「A数と計算」,「B図形」,「C測定」(下学年),「C変化と関係」(上学年),及び「Dデータの活用」の五つの領域で示されています。その中で「Dデータの活用」領域のねらいは,次の三つに整理しています。・目的に応じてデータを集めて分類整理し,適切なグラフに表したり,代表値などを求めたりするとともに,統計的な問題解決の方法について知ること・データのもつ特徴や傾向を把握し,問題に対して自分なりの結論を出したり,その結論の妥当性について批判的に考察したりすること・統計的な問題解決のよさに気付き,データやその分析結果を生活や学習に活用しようとする態度を身に付けることとあります。
また、2012 年度の高 1 生より,データの分析(統計学) が必修単位として導入されています。そして、センター試験にも出題され始めています。統計学が必修になったのも,それは、社会に出てからのデータの数学的センスを磨くものとして,時代の要求だとも考えられているのです。
現在、SNSをはじめとして、あらゆる情報が満ち溢れています。それをいかに分析し、コンピュータを使って情報を活用する方法を学ばなければなりません。大学でも、情報科学は理学部や理工学部に設置された情報科学科などで学ぶことができるようです。情報科学は近年、数学が急速に発展した結果生まれた学問分野であるため、もともと数学科だった学科に情報科学も専攻できるようにした大学もあるそうです。理論を重視する学科と、情報科学の実践面にあたるソフトウエアについて深く学べる学科とに大別されます。ドイツでは、そういう意味で、いち早く乳幼児期からの情報科学の取り組みを、始めているようです。

ドイツでは「科学」であったり、これまでは小学校で習うであろう分野を乳幼児教育でもいち早く取り入れている印象があります。しかも、「教科」としてではなく、あくまで「遊び」としてうまく取り入れている印象です。日本であるとどうしても「教科的に伝える」ということが中心になってしまうので、こういった遊びにうまく落とし込んで子どもたちに触れることができるようにする姿勢は学ぶところが多いですね。統計学も難しく考えると公式や統計表といった話になるのでしょうが、遊びの中で子どもたちが失敗をもとに最適解を探る様子に統計というものは少なくともあります。大人が簡単に答えを教えると子どもの経験を妨げるだけではなく、統計を得ることもないと考えると主体的に自由に遊ぶ中に学びが隠れていることがわかります。常々、乳幼児教育において、こういったこじつけ的にでも子どもの遊びを読み解くということはとても重要なことだと思っています。子どもの遊びを考える視点としても「STEM」や「MINT」といった切り口で考えるのは必要な子とだと思います。
論理的な思考においても情報を正しく分析するということは重要になってくるのかもしれませんね。ただ数字を集めればいいということではなく、分析するに値する情報を集めるとか、統計するに値する数字を集めるという感覚でしょうか?よく私もわからないのですが、単に情報を集めればいいということではなく、正しい集め方というのも今後は大切になってくるのかもしれませんね。そのために乳幼児期としてなにができるのか、それは先取り教育としてではなく、考えていかなければいけないのかもしれません。教育において慎重になることも大切ですが、こういった取り組みのように、まずはやってみるという姿勢は日本も見習って行かないといけない部分かもしれません。
情報処理やデータ解析の方法を学ぶという情報科学ですが、数などの共有する価値を通して、何かと何かを比較するという遊びが、それらの基礎となりそうですね。植物成長の観察やその表作り、そして、この感じなら1週間後には◯cmになっていそうだねという仮説を立てることも、関連しているかもしれません。大事なのは、情報を処理したりデータ解析をすることで、何がわかるか、何ができるようになるか、といったことが体験、社会的実践と結びつける主体的活動にしなくてはいけないのは、STEM教育と共通する考えかもしれません。