東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が、10年にわたり同じ母集団に調査を続けたところ、1日の中で読書しない小・中学生・高校生の割合が1.5倍になったことが分かったということが記事なっていました。同時の調査では、スマホの使用時間が読書時間に与える影響は、学年が低いほど大きいことが示唆されています。また、保護者が「自分の能力を高めるための勉強をすることがある」と答えた子どものほうが、読書をしない割合が低かったこともわかりました。保護者が学ぶ姿勢見せることは子どもへの手本になるようです。様々な調査で読書と学力の関連が示されています。10月の園だよりにはこんなことを書きました。
[秋といえば、いろいろなことを連想します。その一つに「読書の秋」というものがあります。最近は、秋は読書に適した季節であるというには暑すぎますが、もともとは、中国の唐時代の詩人である韓愈の詩が由来だといわれています。彼の書いた「符読書城南詩」は、秋の夜に灯りの下で読書を楽しむことを勧める内容だそうで、この詩を夏目漱石が小説『三四郎』で引用したことで、日本でも広がったそうです。 また、毎年10月27日から11月9日までの2週間、「読書習慣」が開催されています。この期間は、アメリカのチルドレンズ・ブック・ウィークと日本の文化の日が影響しているそうです。以前、10月にオランダの小学校に視察に行ったときにオランダでも読書週間でした。見学した小学校では、ある時間、生徒全員が廊下に出ます。すると、各教室の入り口で、そのクラスの担任が、「私のクラスではこの本の読み聞かせをします」とPRして、子どもたちは、自分が聞きたい絵本を読み聞かせてくれる教室に入って、聞いていました。
先日、文部科学省は、小学6年と中学3年を対象に実施した2025年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の成績とアンケート調査の分析結果を公表しました。設問に対し、根拠を明示して文章にまとめる記述式問題で苦手な傾向があったそうですが、読書が好きな児童生徒ほど成績が良く、家庭の蔵書数とも相関関係がみられたということが公表されていました。文科省の担当者は「読書は、各教科の言語活動を支える基礎であり、本を身近に感じる取り組みが重要だ」としています。
このような研究はいろいろとあります。令和3年3月発行の「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」(国立青少年教育振興機構 青少年教育研究センター)では、子どもの頃(小学校高学年、中学校、高校)の読書量が多い人は、そうでない人よりも意識・非認知能力や認知機能が高い傾向があるとあります。それに引き換え、本(紙媒体)を読まなくなった人は、年代に関係なく増加しているといいます。1ヶ月に読む本(紙媒体)の量を経年比較すると、「0冊」と回答した人の割合は、年代に関係なく、平成25年では28.1%でしたが、平成30年では49.8%と約20ポイント増えているそうです。一方で、携帯電話やスマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスを用いて本を読む人の割合は増えているそうです。また、 携帯電話、スマートフォン、タブレットを利用した1日あたりの読書時間を経年比較すると、年代に関係なく、15分以上と回答した割合が増えています。
先日発表された「全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)」の一環で実施された「経年変化分析調査」で、小学6年と中学3年のスコアが3年前の前回を下回ったことで様々な原因が取りざたされていますが、読書量にも関係があるかもしれません]

